orzのポケ日記

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【感想】劇場版『のんのんびより ばけーしょん』は71分の沖縄旅行

劇場版『のんのんびより ばけーしょん』は映像コンテンツを超越した旅行体験でした。皆さん、夏の忘れ物を回収するのは今しかないですよ……。


なるべくネタバレは無しにしていますが些細な部分も気になる人は注意してください。

 


個性豊かな生徒5人の田舎生活を描いた作品、『のんのんびより』。劇場版では田舎を飛び出し、3泊4日の沖縄旅行が舞台となっています。

 

アニメは2期まで放送され今回初の映画化。のんびりとした空気とキャラクターの可愛さが人気です。主人公、れんげの「にゃんぱすー」という挨拶も流行。


本編が始まり、冒頭から描かれるこれでもかという日本の″夏″描写。もうこの時点で泣いてしまいます。日本人共通で認識されているこの夏のイメージって不思議ですよね。みんながみんな田舎の夏体験しているわけじゃないのに。


飛行機で沖縄に移動するシーンのBGMに琉球音階が追加された瞬間から、普段とは異なる舞台、バケーションの始まりを予感させてくれてワクワクが止まりませんでした。いつもの仲間たちと旅行する見知らぬ土地の表現が上手。


劇場版の新キャラクター、あおいは、沖縄民宿の娘であり夏海と同学年の女の子です。初対面の相手とすぐに打ち解けられるのは子供ならではですよね。人と付き合うのに損得感情ではなく、年が近いから、楽しそうだから、客である前に同年代の女の子として扱う夏海の真っ直ぐな姿に感動しました。


しかも声優は沖縄出身の下地紫野さん。文句なし。本当にありがとう。


子供の頃に親の実家に帰省して遊んだ、今はもう名前も顔もう思い出せない友人のことを思い出して涙が出てきました。何してるんだろう。


旅行が始まるソワソワした感覚と旅行中の普段とは違ったテンションのみんな、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい訪れる別れ、寂しさ……完璧です。


大人になってからの旅行じゃなくて最初から最後まで、何もかもが子供の頃の旅行体験なんですよね。子供だけの部屋で大人に内緒で夜更かしする特別感、旅先での出会いと別れ……。


何も大きな事件が起きなくて眠くなった、という感想を見かけたのですが本当に楽しみ方がズレていると思います。繰り返しでしつこいですけど、これは71分の沖縄旅行なんですよ。


言葉を選ばなければ、ごくごく普通の、ひょっとしたら平凡かもしれない沖縄旅行という題材を劇場作品として纏めあげる脚本と演出、素晴らしいです。


夏が秋に変わる前に、早い段階で鑑賞することをオススメします。


EDの歌詞で泣きすぎて終わってすぐにトイレの個室こもって泣きました。中学生だって高校生だって泣くんだもん。社会人が泣いたっていいよね。